ジャバラ設計者のよもやま話

 古来日本では「気」を重んじ、精神、身体、自然など森羅万象において表現されています。
過去の本コラムに宮本武蔵の書「五輪書」から、水の巻、「兵法の目付」を心得ておれば、梅田の地下街で人々の雑踏を縫って走る
ことも可能と記しましたが、この方法を試した方で、うまく雑踏の中をすり抜けられない方もおられると思います。
うまく雑踏の中をすり抜けるためには、心を静かにしてリラックスした状態で進まなければなりません。そうすれば進行の途中で
人とすれ違い時に接触したとしても緩やかにやりすごすことでトラブルにはなりません。
宮本武蔵の書にある「兵法心持ちの事」に
(兵法の道において、心の持ちようは、常の心に変わる事なかれ。兵法の時にも、少しもかはらずして、心を直にして、きつくひつ
ぱらず、少しもたるまず、心のかたよらぬように、心をまん中におきて、心を静かにゆるがせて、其のゆるぎのせつなも、ゆるぎ
やまぬように、能々吟味すべし。)とあります。
この心と身体の持ちようは、リラックスそのもので、これは多くの武道においての心得であるようです。
ここで筆者のリラックス方法は、
呼吸をできるだけ穏やかにして、眼に力を入れず、上体のこわばりをなくし(肩の力を抜いて、肩を後ろに引き、腕が肩から
ぶら下がったような状態)、「気」を臍下丹田に押し下げて、尻を出さず、膝を軽く曲げて膝より足先までに意識を置いて立ちます。
余談ですが
今から約60年前のこと、秋の快い日に夫婦で生駒山へハイキングに出かけたその途中、野犬の群れに遭遇したことがあります。
ハイキング道の崖下から「がさ、がさ」と音がして、野犬が道に現れた、私は危険回避の方法として「木石」と化するしか方法が
ないと瞬時に判断し、妻を私の後ろにへばりつかせて、リラックスの態勢をとった、その時に集団のボスと思われる犬(耳の
とがったドーベルマン=人に飼われたのが野犬化)が私の目の前で立ち止まり、ジッと私を見つめてきた、私は出来るだけ穏やか
な目にして「兵法の目付」を行った。
野犬の群れが道路を横切って山に入り切ったところで、ボス犬がチラリと私を見て野犬の群れの後について去った。

2025/7/29 HW

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